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 昭和・平成・令和どころか、なんなら弥生・古墳・飛鳥・飛鳥・・・・・令和という壮大なタイムケールの中を生き抜いている植物が発見された。

 アメリカ、ノースカロライナ州を流れるブラックリバー沿いには、木々が生い茂る森がある。その森を形成する針葉樹ラクウショウ(学名 Taxodium distichum)の木々は、2000年も前からそこに静かに佇んでいるのだが、その中から、少なくとも樹齢2624年はあるだろうという木が発見されたのだ。


自らのクローンを作る木でならさらに長寿の種(ユタ州のパンドは8万歳!)も見つかっているが、そうでないものとしては世界で5番目に長寿の木である。

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Ancient Bald Cypress of Black River, North Carolina

太古より栄枯盛衰を見続けていた長寿の木

 「ブラックリバーには樹齢2000年を超える木がほかにもきっとあるでしょう。3000歳近い木だってあるんじゃないでしょうか」とアーカンソー大学の地質学者デビッド・シュターレ氏は話す。

 この辺りの森は非常に古いことで知られている。たとえば1980年代には、樹齢1700歳の木が発見され、NPO団体が保全のためにあたりの土地の買収に動いたこともあった。

 だが今回の発見でわかったのは、森はそれよりずっと古いものであるということだ。

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 調査チームはこれまで手付かずだった湿地帯で、サンプリング調査を実施。木への負担が軽いサンプル採取器具を用いて中心部までを採取し、その年輪の数を数えるのだ。

 木の中には心腐れで内部が空洞となり、樹齢がわかりにくいものもある。そこで中がきちんとしていそうな木を選んでサンプリングが進められた。

バビロニア王国やクレオパトラの時代より生きる木

 調査の結果、「BLK227」と名付けられた木は、少なくとも樹齢2624年であることが判明した。

 紀元前605年に芽吹いたわけで、ローマ帝国よりも古い。じつにバビロニアのネブカドネザル2世が王位に就いた年のことだ。日本だと弥生時代ぐらいだ。

 さらにもう1本、「BLK232」という木は樹齢2088年であった。

 芽吹いたのは紀元前70年――絶世の美女として知られる古代エジプトの女王クレオパトラが生まれた頃のことである。

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 シュターレ氏によれば、ラクウショウは薪として伐採されてしまうために、こうした古いものは非常に珍しいのだとか。

 「オリジナルのラクウショウの森で生き残っているのは、1パーセント未満です。」

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2500年間の気候の記憶とロアノーク植民地のミステリー

 ラクウショウの森が研究者の関心を集めているのは、ただその古さだけのためではない。その年輪が、木が成長する間の降雨の記録でもあるからだ。

 つまり木の年輪サンプルは、およそ2500年分にも及ぶ気候の情報であり、新バビロニア王国以降に生じた干ばつや洪水について知ることができるのである。

 特に注目されるのは、1587年から2年間続いた大干ばつだ。

 当時、ノースカロライナ州ロアノーク島には数度にわたり開拓民が送られ、植民地が作られていた。ところが、87~90年の間に、なぜか開拓民が忽然と姿を消してしまうという謎の失踪事件が起きている。

 このためにロアノークは「失われた植民地」と呼ばれ、現在においても大きなミステリーである。

 だが、今回まさに同時期に生じていた干ばつは、あるいは事件の真相に光をあてることになるかもしれない。

 この調査研究は『Environmental Research Communications』で発表された。

■生きている最高齢樹ベスト10(年輪による調査・アーカンソー大学)
1. グレートベイスン・ブリッスルコーンパイン 米カリフォルニア州 5066歳
2. パタゴニアヒバ チリ 3622歳
3. セコイアデンドロン 米カリフォルニア州 3266歳
4. シエラジュニパー 米カリフォルニア州 2675歳
5. ラクウショウ 米ノースカロライナ州 2624歳
6. イガゴヨウ 米コロラド州 2435歳
7. セコイア 米カリフォルニア州 2200歳
8. フォックステイルパイン 米カリフォルニア州 2110歳
9. コロラドビャクシン 米ニューメキシコ州 1889歳
10. フレキシマツ 米ユタ州 1697歳

References:sciencealert / iflscience/ written by hiroching / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52274340.html
 

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(出典 news.nicovideo.jp)


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